特集 再建外科
II.再建部位による再建材料の選択と再建方法
4.中咽頭の再建
苦瓜 知彦
1
1癌研究会附属病院頭頸科
pp.125-131
発行日 1999年4月30日
Published Date 1999/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901982
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はじめに
中咽頭癌に対する手術(拡大切除・一期再建)は,近年の再建外科の発達に伴い飛躍的に進歩した1)。しかし,三次元的で複雑な解剖学的特徴をもつ中咽頭の再建は,経験の少ない頭頸部外科医にとってイメージのわきにくい手術の1つかもしれない。ある程度経験を積んでも切除範囲のわずかな違いや,用いる皮弁の厚さや硬さで思うような再建ができないこともある。うまく再建したつもりでも意外に機能が悪いこともあるし,時間が経つにつれて皮弁が瘢痕化して機能低下をきたすことも経験する。また,内頸動脈がすぐ外側に位置するため,縫合不全から膿瘍を形成すると大出血の原因となり致命的な結果をまねく。
安全確実で,かつ術後機能を良好に保つ再建手術を行うためにはどうしたらよいか。この難問に対して,完壁な解答を示すことは難しい。
本稿では中咽頭の再建についての基本的な考え方を整理し,われわれの施設における過去の経験から,良かったこと,悪かったことなどをなるべく具体的に述べたいと思う。術中にどのような点に注意すればよいか,少しでも若い読者の参考になれば幸甚である。なお,中咽頭癌の中でも舌根・喉頭蓋谷の癌は,喉頭や舌の保存の可否などで少し異なった観点の問題を含んでおり,チャンスがあれば別の機会に論じたい。中咽頭後壁癌についても同様である。
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