Japanese
English
原著
産褥期婦人にみられた耳下腺炎による内頸静脈血栓症の1例
Internal Jugular Vein Thrombosis in a Postpartum Patient accompanied with Acute Parotitis:Report of a Case
大渡 隆一郎
1
,
柏村 正明
1
,
犬山 征夫
2
Ryuichiro Owatari
1
1聖母会天使病院
2北海道大学医学部耳鼻咽喉科学教室
1Department of Otolaryngology, Tenshi Hospital
pp.152-155
発行日 1997年2月20日
Published Date 1997/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901541
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
現在のように抗生物質が発達する以前は,咽頭炎や頸部膿瘍に続発する内頸静脈血栓症はまれなものではなく,しばしば致死的でさえあった。現在では内頸静脈血栓症はまれな疾患となっているものの,しかし,放置すれば肺梗塞などの重大な合併症を引き起こす可能性があり,疾患としての重要性に変わりはない1)。
妊婦の血液は凝固亢進状態,低線溶状態にあり,このような特殊な状況下では婦人科手術を契機とし血栓を形成しやすい傾向にある2)。産褥期婦人の静脈血栓症はその大半が下腿,骨盤内に発症することが知られており,その他の部位に発症することは比較的まれである。今回われわれは,頭痛,耳下部の疼痛を主訴とし,産褥期であったことがその誘因と思われた内頸静脈血栓症の1例を経験したので報告する。
Internal jugular vein thrombosis is uncommon today because of the benefit of antibiotics.
We reported a case of internal jugular vein throm-bosis of a 24-year-old postpartum patient.
She received antibiotics and urokinase therapy, but the thrombi still remained.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.