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はじめに
頭頸部領域に発生する悪性腫瘍は癌腫,とりわけ扁平上皮癌の頻度が圧倒的に高いが,悪性リンパ腫はこれに次いで頻度が高く1)日常臨床においても常に念頭に入れておかなければならない疾患である。現在悪性リンパ腫の診断は,生検された組織に対し形態学的検索に加え,免疫組織学的検索を行うことによりT,B細胞系列,および分化段階についても情報を得ることが可能である。しかしながら,これらの方法を用いても明確な診断の困難な症例が存在するといわれている2)。最近の分子生物学の進歩により,免疫グロブリン遺伝子の再構成の検出はB細胞への分化が決定された細胞の同定を,またT細胞受容体遺伝子の再構成の検出はT細胞への分化が決定された細胞の同定を可能にした3,4)。これによりリンパ性腫瘍における細胞系列の決定と単クローン性増殖の証明はDNAレベルでなされるようになり,すでに臨床的に応用がなされている5,6)。今回筆者らは,頸部リンパ節生検により亜急性壊死性リンパ節炎を疑われたが,経過が遷延化することから生検組織の遺伝子解析を行い,T細胞型悪性リンパ腫と診断し得た1例を経験したので報告する。
A 33-year-old woman with lymphadenopathy in the submental region received immunogenetic and immunohistological analysis, because the submental lymph nodes did not disappear over 4 months despite of treatment with prednisolone. Im-munogenetic analysis showed the rearrangement of T-cell receptor gene and immunohistological study revealed infiltrating large atypical lymphocytes with T-cell phenotype, suggesting monoclonal malignant T-cell lymphoma.
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