海外トピックス
セントルイス ワシントン大学におけるヒゲコウモリの聴覚研究(留学記)
中田 誠一
1
1名古屋大学医学部耳鼻咽喉科
pp.890-895
発行日 1995年9月20日
Published Date 1995/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901213
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□セントルイスへ
私は1994年1月から名古屋大学医学部耳鼻咽喉科学教室柳田教授,服部講師,植田講師のご好意により,アメリカ,ミズーリ州セントルイスのワシントン大学菅研究室への留学の機会をいただき,現在セントルイスにて聴覚中枢の研究に携わっています。この場をお借りしてアメリカでの研究および日常の生活について報告させていただきます。
1994年1月15日,日本から飛び立った後,途中アメリカの国内線飛行機乗り継ぎに失敗,延々と16時間に及ぶ長旅の末,着いたセントルイスの町は零下20℃という今までにほとんど経験しなかったような寒さが待っていました。「これは大変なことになりそうだなあ」という予感は正に的中し,連日凍えるような寒さの中でアパートの賃貸契約,車の購入など大変な毎日でした。アパート,車など契約問題一つとっても日本とは契約の仕方,契約そのものに対する姿勢がかなり違い,とまどっているうえに相手側から機関銃のような英語が私の耳を直撃してきます。“I beg your par-don?”という質問を何回も繰り返しているうちに,白人のおばさんがもう限界だというように首を横に振るのも度々ありました。例えて言うならば,日本で小学校低学年の子供が,自分の知らない町へ出て,そこでアパートの契約などをすると考えたらいいでしょうか。毎日,毎日,からだの芯まで疲れるといった日が続き,その当時,こんな感じでアメリカ生活が続くのだろうかと心配になったものです。
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