特集 外来診療マニュアル—私はこうしている
I.症状の診かた・とらえ方—鑑別のポイントと対処法
31.呼吸困難
山下 公一
1
1金沢医科大学耳鼻咽喉科
pp.113-115
発行日 1991年11月5日
Published Date 1991/11/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900394
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呼吸困難は,「呼吸困難感の認識」という患者の自覚的症状に属する症候であるが,さらに,患者の意識の有無にかかわらず,客観的に呼吸困難ありと認められる他覚的所見から判定される面もあり,呼吸困難を客観的概念で定義することは難しい.一般的には,自覚症としての呼吸困難に,他覚的な異常呼吸をも含めて,「努力を伴った呼吸反応」という広義の解釈のもとに取り扱われる.臨床的には,労作時の軽い息切れから窒息までその範囲は広く,生命をおびやかす可能性もあり,迅速に適切な処置が要求されるプライマリーケアにおける重要な症候のひとつである.
呼吸困難は,換気の要求度と換気能力の間に不均衡が起こった時に生じるとされるが,種々の異なる疾患の異なる病態によって引き起こされる.表1はそれを病態別にリストアップしたもので,大きく分類すると,呼吸器疾患,心疾患,血液疾患,その他心因性疾患,代謝性疾患,神経・筋疾患などが含まれる.
耳鼻咽喉科で取り扱われる呼吸困難は,呼吸器疾患のうち上部気道の気道狭窄・閉塞によるものが多く,中には緊急性の高いものも含まれるので,他の原因による各種病態をも考慮して鑑別の上対処する必要がある.
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