トピックス 音声外科
声帯ポリープの音声外科的治療
久 育男
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科
pp.105-110
発行日 1990年2月20日
Published Date 1990/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900018
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はじめに
音声障害をきたす疾患のうち,声帯ポリープ,声帯結節,ポリープ様声帯は高頻度に認められ,多くの場合音声外科の適応となる。本項ではこれら3疾患の音声外科的治療について述べる。これらの疾患を鑑別するのは時に難しい場合があるものの,臨床的にはおよそ次のように区別されている1)。声帯ポリープは声帯膜様部(多くは中央部に)に発生する限局性腫瘤で,有茎,無茎のいずれもあり,色調も多様である。声帯結節は帽針頭大以下の無茎の腫瘤で,膜様部中央付近に好発し,両側性であることが多く,色調は声帯表面に等しい。一方,ポリープ様声帯は声帯の広い部分にわたるびまん性,浮腫状の腫脹を呈するものである。
なお,声帯結節およびポリープ様声帯は上述のごとく両側性のほぼ対称的な病変であることが多いが,平野2)は外科的治療という立場からみると片側性でも外形によって分類する方が都合がよいとしている。
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