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みなさん,夏休みで十分充電されましたでしょうか? あまりの猛暑続きに,「地球温暖化」の時代は過ぎ「地球沸騰化」の時代に入った,という国連事務総長の警告も,まさにその通りと危機が身近に感じられる夏でした。また,日本の出生数に関するニュースも先日目にしましたが,今年の上半期の出生数は37万余人と,過去最低数を更新したとのことでした。私はほぼ第2次ベビーブーム世代ですが,年に換算した出生数は私の世代のほぼ3分の1に減少したことになります。将来,産婦人科,小児科のみならず,耳鼻咽喉科を含めた医学会全体が大きな構造改革を迫られるのは間違いないと思われます。極端な少子化,超高齢社会において,耳鼻咽喉科・頭頸部外科はどのような対応を取っていくべきなのか,皆の知恵が必要だと思います。
外科医の技術が習熟するためには,一定の症例数の経験は絶対に必要ですが,全体の症例数が減れば減るほど,熟練した外科医に症例が集まるのは必然です。そのような環境で,若手外科医が手術を習得するには,教育環境の整備が必須になります。本特集号の頸部郭清術は,頭頸部外科医にとって習得すべき手術の1つですが,本企画ではエキスパートの先生方に,惜しみなくその技術やコツを披露いただいていまして,頸部郭清術を学ぶのに最適な特集号となっています。リンクが張られている動画を繰り返しみて,各手技の解説を繰り返しお読みいただき,そのうえで手術に臨む機会があれば,手術を習得する過程を速められることが期待されます。これからの少子化の時代には,このような学習過程は必須になることと思います。それぞれの施設による「独自の秘伝の手技」という考え方は時代遅れであり,頸部郭清術のみならず,鼓室形成術やTEES,ESSや頭蓋底手術なども全国的に同様の教育コンテンツを充実させて,優れた術者を生み出すシステム作りが重要だと思っています。若手・中堅の皆さんは,さまざまな教育コンテンツを有効利用して学んでいかれることを期待しています。
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