Japanese
English
特集 扁桃診療最前線—扁桃を取り巻く諸問題
扁桃癌の病態と治療戦略
Pathophysiology and therapeutic strategy of the tonsillar cancer
杉本 太郎
1
Taro Sugimoto
1
1がん・感染症センター都立駒込病院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍外科
pp.1130-1135
発行日 2018年12月20日
Published Date 2018/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201895
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POINT
●日本において,中咽頭癌は側壁に1/2,前壁に1/4が発症し,男女比は約5:1,好発年齢は60歳台で,扁平上皮癌が大部分を占め,2010年前後ではHPV関連癌(約90%はHPV 16型)が約半数を占めた。
●HPV関連癌は非関連癌と比べ予後がよく,最新の「頭頸部癌取扱い規約第6版」ではp16陽・陰性(HPV関連の有無)で中咽頭癌を分類するようになった。
●HPV関連癌のほとんどは扁桃癌であり,扁桃陰窩から発症して扁桃被膜の内部で静かに進行するため早期診断が難しい。頸部リンパ節転移は嚢胞変性をきたすことが多く,側頸嚢胞との鑑別が問題となる。
●HPV関連癌の他の特徴としては,①若年者に多い,②性行為との関係が深い,③病理は非角化型・basaloid・低分化型,④T分類は早期かつN分類は進行,⑤重複癌が少ない,⑥TP53は野生型,⑦EGFRの過剰発現がない,などが挙げられる。
●扁桃癌の治療は,将来的には臨床試験の結果に基づきHPV関連の有無で差別化して行われることになると考えられるが,現状ではこれらを区別せず,個々の症例の状態に応じて治療法を考慮することとなる。
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