Japanese
English
特集 頸部腫瘤を見極める
甲状腺腫脹・腫瘍
Thyroid swelling and tumor
山下 拓
1
Taku Yamashita
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.684-692
発行日 2016年8月20日
Published Date 2016/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201056
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POINT
●非腫瘍性甲状腺腫脹は,症状からある程度疾患名を予測し,甲状腺機能検査や各種抗体検査,シンチグラムを含む画像検査で診断を確定する。
●急性化膿性甲状腺炎は,下咽頭梨状陥凹瘻が原因であり,消炎を待って瘻管の存在診断および根治治療を行う。近年,低侵襲な経口的根治治療の試みも報告されている。
●乳頭癌はハイリスク症例には(準)全摘を行い,T1N0M0症例には葉切除でよいとのコンセンサスが得られているが,グレーゾーン症例については個々の施設・症例で検討を要する。
●濾胞性腫瘍は転移がない限り各種術前検査や迅速病理診断での良悪性の診断は困難であり,摘出標本上での被膜浸潤,脈管浸潤の有無により良悪性診断を行う。
●髄様癌では遺伝性と散在性に分けて治療方針を決定する必要があり,RET遺伝子検査が有用であるが,ていねいな遺伝子カウンセリングが望まれる。
●未分化癌はきわめて進行が速く予後不良なため,根治手術を予定している場合も,手術に並行して診断当初から終末期を意識した緩和医療の対象とすべきである。
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