増刊号 耳鼻咽喉科処方マニュアル
1.主な薬剤の種類と使い方
頭頸部がん治療薬の種類と使い方
西村 剛志
1
,
折舘 伸彦
1
1横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.28-34
発行日 2016年4月30日
Published Date 2016/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200884
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はじめに
頭頸部がん(その組織型の約90%は扁平上皮癌)の根治治療は手術または放射線治療(radiotherapy:RT)であり,化学療法は補助療法の位置づけではあるが,集学的治療の一環として積極的に使用されている1)。化学療法は進行例に対して,①放射線治療との併用で治癒・再発予防・臓器温存を目的として,②化学療法単独で喉頭温存を目的とした導入化学療法として,③再発・遠隔転移例に対する延命・症状緩和などを目的として行われる。化学療法単独での補助化学療法としての実施は,上咽頭がんの場合でのみエビデンスが示されている。
本邦で頭頸部がんに対し保険承認されている抗悪性腫瘍薬には,白金製剤のシスプラチン(CDDP),カルボプラチン(CBDCA),ネダプラチン(CDGP),タキサン系製剤のドセタキセル(DTX),パクリタキセル(PTX),フッ化ピリミジン系製剤のフルオロウラシル(5-FU),テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1),テガフール・ウラシル配合剤(UFT),テガフール(TGF),抗EGFR(epidermal growth factor receptor)抗体のセツキシマブ(Cmab)などが挙げられ,単剤もしくは多剤併用で投与される。
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