書評
内視鏡下鼻副鼻腔・頭蓋底手術CT読影と基本手技[3DCT画像データDVD-ROM付]
佐伯 直勝
1
1千葉大学・脳神経外科学
pp.330
発行日 2015年4月20日
Published Date 2015/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200558
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経鼻内視鏡手術を行う脳神経外科医にとり有用な書
脳神経外科手術領域における内視鏡下経鼻手術は,従来の顕微鏡下経鼻下垂体手術をさらに発展させた洗練された方法として認められつつあり,従来拡大経蝶形骨洞手術として行われていた傍鞍部腫瘍への到達法から,さらに広がりをもった手術法も可能となった。そして内視鏡下経鼻手術は,正中病変では前頭蓋底から頭蓋・頸椎移行部,側方病変では海綿静脈洞,翼口蓋窩,側頭窩下,眼窩内病変に至るまで,頭蓋底疾患を広く扱える手術法として発展しつつある。欧米諸国では,耳鼻咽喉科,頭頸部外科,脳神経外科をバックグラウンドとしたチーム医療が花開きつつあり,日本においてもこの領域に特化した専門医グループの出現が待たれる。
一方で,髄液漏れ,血管損傷,脳神経麻痺などの内視鏡下経鼻手術に特有な合併症を起こさない工夫や,起こした際の対処法などを習熟しておかなければならず,習熟法の1つとしてキャダバートレーニングが有用であることは論をまたない。本書の編集者・執筆者である中川隆之氏は,京大の耳鼻咽喉科・頭頸部外科医の立場からキャダバートレーニングコースを開催し,内視鏡下経鼻手術の安全な手技の普及に貢献してきた。本書で特徴的なのは,個々のキャダバーの3DCTを術前に評価し,個別に手術手技,解剖をイメージしながら,段階を踏んで手術を行っていく方法で,実際の手術法に即した教科書としてまとめ上げられている点である。また本書は,初心者でも行えるわかりやすいプランニングと,安全かつシンプルな手術テクニックをコンセプトとしているとともに,基本的手技から一歩進んで,頭蓋底手術についても同様のコンセプトで解説している。
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