書評
内視鏡下鼻副鼻腔・頭蓋底手術—CT読影と基本手技[3DCT画像データDVD-ROM付]
岡野 光博
1
1岡山大学・耳鼻咽喉・頭頸部外科学
pp.1051
発行日 2014年11月20日
Published Date 2014/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200059
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3DCTデータを操作しながら読み進められる画期的な書
待ち望まれていた内視鏡下鼻副鼻腔・頭蓋底手術の新刊書である。本書は京都大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授の伊藤壽一氏によるご監修の下,中川隆之氏が編集を務められ,同大学で行われている手術解剖実習の講師陣が執筆されている。手術解剖実習で得られた知見などを基に,内視鏡手術を行ううえで知っておきたい新しい知識やテクニックを余すところなく伝えている。
本書の最大の特徴は,付録のDVD-ROMに収められている5例のcadaverのCT画像データを閲覧・操作しながら読み進めることができる点であろう。いうまでもなく手術を行ううえでの基本は局所解剖の理解であり,内視鏡下鼻副鼻腔・頭蓋底手術においては術前CTの適切な読影が大切である。本書の構成はDVD-ROMに収められている5例のCT読影および解剖が中心となっており,本書に掲載されている図の多くはDVD-ROMに収められている5例を用いている。5例のファイルを開き,「i-VIEWワンデータビューワ」で画像を「クルクル」回して,図と同じスライスがヒットしたときは楽しく,前後左右上下に「クルクル」することで解剖の理解が進む。手術書のみならず数多ある耳鼻咽喉科学関連の教科書の中でも,ここまでCT画像データを読者自身が詳細に操作できる書物はあまりないように思う。「面白くて,ためになる」企画がなされている。
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