トピックス スギ花粉症
日本の林業とスギ花粉症
古越 隆信
1
1森林総合研究所
pp.17-20
発行日 1989年1月20日
Published Date 1989/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200284
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I.林業の変遷
わが国の国土は67%が森林によって占められている。この森林はかつて日本人が採集民族であった頃には,生活の場であり生きるための糧を得る場でもあったのが,農耕文化の発達とともに農地が開拓され,人は集落や都市に住むようになった。近世になってもその名残りがあり,自然の力による生産物として木材その他の野生資源の供給源として利用されてきた。
森林が木材生産の経営対象地となったのは江戸時代からであり,藩政を支える財産の管理対象として森林があった。本格的な森林の管理経営が始まったのは明治以降で,とくに大正時代からは国有林で,人工造林といって有用な樹種を人為的に植え込み,計画的に木材を生産する事業が行われるようになった。また戦後は国土の保全,復興と重要な生活資源である木材生産を目指した国の施策として,民有林も含めた大規模な人工造林が行われ,全森林面積の40%が人工造林地となった。
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