医療ガイドライン
身体障害者の診断書作成にあたって(とくに聴覚障害)
鳥山 稔
1
1国立病院医療センター耳鼻咽喉科
pp.257-263
発行日 1988年3月20日
Published Date 1988/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200132
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I.はじめに
近年わが国は急激な高年齢者の増加で社会構造も変化し,そのために医療の内容も変化してきた。耳鼻咽喉科領域においても老人性・混合性難聴や,中枢・末梢性の前庭障害,麻癖性構音障害,失語症などの患者が急増し,外来を子供から老人へと変化させつつある。事実厚生省社会局更生課の集計でも全国身体障害者実態調査で,全障害者数では昭和55年に197万人であったのが,62年には241万人と1.2倍になり,部位別では視覚障害者は33万人から30万人へと減少したのに対し,耳鼻咽喉科関係は31万人から35万人へと増加してきた。一方前記のごとく聾学校の生徒数は昭和49年の15,000人が現在では9,000人と減少し,また今回の調査でも聴覚・言語系身体障害者のうち65歳以上の高年齢者の198,000人(55.4%)に対して,65歳以下が146,000人(44.6%)と人口構成から考えても耳鼻咽喉科領域の身体障害者は高年齢者に頻度が多い。
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