増刊号 画像診断パーフェクトガイド―読影のポイントとピットフォール
部位別診断法
Ⅰ.耳・側頭骨
pick upミニレクチャー
グロムス腫瘍
稲吉 康比呂
1
,
角田 篤信
1
,
岸本 誠司
1
1東京医科歯科大学頭頸部外科
pp.114-115
発行日 2014年4月30日
Published Date 2014/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102818
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画像診断の狙い
グロムス腫瘍は化学受容体である傍神経節から発生する腫瘍(paraganglioma)であり,耳鼻咽喉科・頭頸部外科の領域では稀な腫瘍である。鼓室壁,特に鼓室内側壁・鼓室神経(Jacobson神経)に近接して生じる鼓室型グロムス腫瘍(glomus tympanicum tumor)と頸静脈球の外膜側に存在するグロムス小体から生じる頸静脈球型グロムス腫瘍(頸静脈孔グロムス腫瘍:glomus jugulare tumor)があり,併せてjugulotympanic paragangliomaと呼ぶ1)。初発症状としては拍動性耳鳴,難聴,めまいなどを呈する。鑑別すべき疾患としては,コレステリン肉芽腫,顔面神経鞘腫,高位頸静脈球,内頸動脈走行異常,髄膜腫,転移性腫瘍などが挙げられる。グロムス腫瘍は血流に富んだ腫瘍のため,安易に生検を行うと思わぬ大出血が生じる。そのため,画像検査による診断が特に重要である。また実際には画像診断だけでなく,局所所見も踏まえて行っていくことになる。
グロムス腫瘍の治療は手術による摘出が基本であることから,術式選択においては画像診断による進展範囲の正確な把握が不可欠である。また術中出血のコントロールや,術後還流障害の予測のため血管造影を行うことも重要である。
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