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はじめに
末しょう性顔面神経麻痺に対して,副腎皮質ステロイド(以下,ステロイドと略す)療法が標準治療として広く行われている1)。一方,抗ウイルス薬の使用については議論の分かれるところである。ウイルスの再活性化が病態の原因のひとつと考えると2),抗ウイルス薬の効果が期待される。実際に,抗ウイルス薬の1つであるバラシクロビルが有効だとする報告もある3)。しかし,一方でバラシクロビルや,その活性代謝物であるアシクロビルは有効でないとの報告もある4~6)。2011年に報告されたBell麻痺に対するステロイドと抗ウイルス薬の効果についてのメタ解析でも,抗ウイルス薬(アシクロビルとバラシクロビル)の治療効果については統計学的に有意でないとしている1)。また,2012年に報告された最も新しい報告でもバラシクロビルの効果については否定的である7)。
一方,抗ヘルペスウイルス薬のファムシクロビルが,顔面神経麻痺に対して有効であるとの報告が最近みられる。2008年には,Minneropら8)はファムシクロビルとプレドニゾロンを併用すると,プレドニゾロン単独より有意に麻痺が改善したと報告している。2011年にも同様にファムシクロビルの有効性の報告がある9)。日本国内では,ファムシクロビルは2008年7月に発売されて,帯状疱疹に対して主に皮膚科で用いられているが,国内での顔面神経麻痺に対してのファムシクロビルの報告はみられない。そこで,今回は顔面神経麻痺を呈した2症例に,抗ウイルス薬としてファムシクロビルを使用し良好な経過を得たので,その使用経験を報告する。
A meta-analysis report showed that antiviral drugs, acyclovir and valacyclovir, were not effective against facial palsy. Recently, two foreign reports showed that another antiviral drug, famciclovir was efficacious agent for facial palsy. In Japan, however, the report of the efficacy of famciclovir against the facial palsy has not been published. Therefore, two patients with the facial palsy were treated with the combination therapy with famciclovir and corticosteroids. Consequently, their facial palsy improved without side effects in a month. Famciclovir is thought to be a good candidate of the antiviral drug against facial palsy.
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