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特集② 知っておきたい小児科の知識―専門医の診方・治し方
喘息様気管支炎,小児喘息
Asthmatic bronchitis and bronchial asthma in children
大嶋 勇成
1
Yusei Oshima
1
1福井大学医学部病態制御医学講座小児科学
pp.931-935
発行日 2012年11月20日
Published Date 2012/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102319
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Ⅰ はじめに
喘息様気管支炎は,乳幼児の喘鳴を主徴とし,努力性呼吸がないか,またはあっても軽く,感染徴候を伴う反復性が強い気道症状に対し実地臨床の場で慣用的に使われてきた病名であり,独立した疾患単位として認知されたものではない1,2)。喘息様気管支炎は,年齢とともに喘鳴を呈することがなくなるが,その理由としては気道内径が大きくなり喀痰の喀出が容易となるなど,気道の形態的,生理的な特徴が年齢とともに変化するためと考えられている。しかし,なかには喘息性気管支炎から典型的気管支喘息を発症する症例もいるとされている。
一方,日本小児アレルギー学会による小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL2012)では,喘息を,発作性に起こる気道狭窄によって喘鳴や呼気延長,呼吸困難を繰り返す疾患で,これらの臨床症状が自然ないし治療により軽快,消失する疾患と定義している3)。年長児ではこの定義により喘息と診断することは比較的容易だが,年少児では,喘鳴を繰り返すようになる時期と努力呼吸を伴う時期に若干のずれがあり,呼吸機能検査ができないことも相まって,喘息と診断することが困難なため,喘息性気管支炎とされている例もあると考えられる。
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