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特集 耳鼻咽喉科とチーム医療の実践(3)
②稀少組織系腫瘍化学療法
2.稀少組織系頭頸部癌の化学療法
2. Chemotherapy for head and neck cancer other than squamous cell carcinoma
李 昊哲
1
Koutetsu Lee
1
1大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.287-293
発行日 2009年4月20日
Published Date 2009/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101404
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Ⅰ.はじめに
甲状腺癌を除く頭頸部癌の約90%が扁平上皮癌である。扁平上皮癌以外では大・小唾液腺や分泌腺から発生する腺系癌が代表例であるが,そのほかにも嗅神経芽細胞腫,悪性黒色腫,軟部組織由来の癌,悪性リンパ腫など頭頸部領域から発生する癌は多岐にわたる1)。頭頸部扁平上皮癌に対する治療において,主体は手術と放射線治療であるが,機能と形態温存とQOLの維持という観点から化学療法は集学的治療の大きな一翼を担ってきており,放射線治療と化学療法の同時併用療法は標準的治療になりつつある。扁平上皮癌以外の稀少組織系の腫瘍に関しても切除可能であれば根治治療としては手術が第一選択であり,化学療法に関してはneo-adjuvant chemotherapy, adjuvant chemotherapyとしての役割は確立されていない。現在までに頭頸部癌に対して臨床効果が検証された治療薬には,癌細胞に対してcytotoxicに作用する化学療法薬とcytostaticに作用する分子標的治療薬があるが,稀少組織系頭頸部癌の場合,治療の主体が手術である組織系が多いため,切除不能症例や再発症例や遠隔転移をきたした症例に化学療法や分子標的治療が行われることが多い。これら薬物療法の発展が稀少組織系頭頸部癌の今後の治療成績の鍵を握っている。
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