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全身免疫能操作による進行性感音難聴の予防と治療
Prevention and treatment of progressive sensorineural hearing loss by management of systemic immune functions
岩井 大
1
Hiroshi Iwai
1
1関西医科大学耳鼻咽喉科
pp.899-905
発行日 2007年11月20日
Published Date 2007/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101164
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I はじめに
急性難聴の予防や治療を目ざして,モデル動物を用いた幹細胞や神経栄養因子,遺伝子などの局所投与が多く検討されている。一方,加齢性進行性感音難聴(老人性難聴)が75歳以上の年長者の40%に認められ1),さらに人口高齢化による難聴人口の増加が見込まれるものの,この老人性難聴の予防法や治療法はいまだに確立されていない。
老化に伴いヒト,動物ともに全身免疫機能障害(免疫老化)が生じ,感染症・自己免疫性疾患・癌などを引き起こしやすくなるが2,3),この加齢性障害は胸腺の萎縮に由来するTリンパ球機能の低下によるとされる4,5)。また,全身免疫機構は内耳免疫機構と密接に関係し,蝸牛細胞の維持にも関与するとされる5)。
筆者はこれまでに,『蝸牛異常に起因しない蝸牛疾患』の存在を提唱してきた。本稿では,骨髄-全身免疫機能操作による進行性難聴の予防や治療について述べる。
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