特集 上気道アレルギーを診る
12.臨床医に必要なアレルギーの基礎的知識
1)気道のⅠ型アレルギー反応の特徴
(2)化学伝達物質:ヒスタミン
久保 伸夫
1
1関西医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.177-181
発行日 2004年4月30日
Published Date 2004/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100593
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I.はじめに
ヒスタミンはヒスタミンH1受容体(以下,H1)を介してアレルギー疾患やアナフィラキシーショックの発症に関与するが,生理的にも体内に広く分布する分子量111の生体活性アミンであり,重要な生理機能を果たしている。末梢ではヒスタミンH2受容体(以下,H2)を介し胃酸分泌に大きく関与し,一方,生理的免疫応答にも関与している。中枢にはヒスタミン作動神経が存在し,覚醒,睡眠,学習,認知,食欲など精神情動に関与する重要な神経伝達物質である。過去30年間ヒスタミン研究の中心は日本であった。
末梢でのヒスタミン産生細胞は,組織中の肥満細胞,末梢血中好塩基球,胃粘膜のECL細胞(enterochromaffin-like cell)などが知られているが,これらの細胞ではヒスタミンは細胞内顆粒に貯蔵され,IgE-IgE受容体を介する刺激に応じて脱顆粒し細胞外に開口放出される。放出されたヒスタミンは効果器細胞のヒスタミン受容体に結合してメッセージを伝える。現在4種類のヒスタミン受容体が同定されている。いずれも7回膜貫通型GTPタンパク共役型受容体であり,1型アレルギーに関与するH1,胃酸分泌に関与するH2,中枢ヒスタミン作動神経系のオートレセプターであるヒスタミンH3受容体(以下,H3),最近クローニングされまだ機能はわかっていないが,血球に広く分布しリンパ球や好酸球での役割が注目されているヒスタミンH4受容体(以下,H4)である。
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