鏡下咡語
高円宮さまと「1000人のチェロ」
髙坂 知節
1
1仙台逓信病院
pp.116-118
発行日 2004年2月20日
Published Date 2004/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100537
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1.プロローグ
未曾有の大震災となった阪神淡路大地震の復興を支援し,犠牲となった大勢のひとびとを追悼するとともに,世界の平和を願うチェロだけのオーケストラによる演奏会が被災地神戸市で開催されたのは丁度6年前のことである。
この会は全世界のチェリストに集合を呼びかけて1,000人のチェロ愛好家を集めてオーケストラを編成して演奏しようというもので,世界的にみても大変に珍しい企画といえる。演奏会は3,000人の聴衆を前に1,013人のチェリストが数々の名曲を披露して大成功の裡に終了したが,この時に高円宮憲仁親王殿下が3人の皇女さまとともに演奏者の輪に加わり,ひとびとの注目を集めるとともに大変な感動を呼び起こされた。高円宮さまはチェロ奏者としても卓越した才能を示されたが,この演奏会を契機に設立されたNPO「国際チェロアンサンブル協会」の名誉総裁に就任され,「このような愛と平和を奏でる素晴らしい音楽会が都市から地方に向けて,さらに海を越えて世界に向けて大きく広がっていくことを心から念願している」と挨拶された。
真に残念なことに,その後高円宮さまは激しいスポーツの最中に突然のアクシデントにみまわれて急逝されたが,「国際チェロアンサンブル協会」が宮さまのご遺志を継いで同様の演奏会を続けることになり,今回初めて東北地方へとチェロオーケストラによる演奏の輪が広げられた。
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