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内視鏡下鼻副鼻腔手術の応用編
Advanced technique of endoscopic sinus surgery
田村 学
1
Manabu Tamura
1
1大阪大学医学部耳鼻咽喉科
pp.361-371
発行日 2006年5月20日
Published Date 2006/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100238
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Ⅰ はじめに
内視鏡下鼻副鼻腔手術は,1985年頃にKennedy1)とStammberger2)により発表されて以来,またたく間に普及し,副鼻腔炎に対する外科的治療の主流となっている。上顎洞,前頭洞の開口部と鼻腔の交通路によって形成される部位をostiomeatal complexと呼ぶが,内視鏡下鼻副鼻腔手術はこのostiomeatal complexの病変を除去することにより副鼻腔と鼻腔の交通路を確立でき,副鼻腔における換気と排泄が可能となることによって副鼻腔炎は治癒するという概念に基づいて普及してきた。CaldwellやLuc以来,約100年,副鼻腔内の粘膜をすべて摘出する副鼻腔根本術を行ってきた耳鼻咽喉科医にとっては画期的な理論で,またたく間に世界中に普及した。当初,内視鏡下鼻副鼻腔手術は副鼻腔炎の治療のために開発され,そして改良されてきたわけだが,今日では内視鏡を用いた鼻副鼻腔手術は低侵襲で深部での手術操作を可能とするという特性を生かして,副鼻腔炎のみならず副鼻腔の周辺組織における疾患にも用いられるようなり,その威力を発揮している。
本稿では,内視鏡の持つ“低侵襲で深部での手術操作が可能”という特性を生かした手術を紹介するため,内視鏡下鼻副鼻腔手術の応用編として表1に示した副鼻腔周辺における内視鏡手術について概説する。
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