特集 聴力改善手術
2.慢性中耳炎
1)慢性化膿性中耳炎 (2)鼓室形成術 ④Ⅳ型
髙橋 姿
1
,
山本 裕
1
1新潟大学医学部耳鼻咽喉科学講座
pp.67-71
発行日 2005年4月30日
Published Date 2005/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100117
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Ⅰ.手術の概念
鼓室形成術Ⅳ型の適応となる疾患は,一般的には良好な聴力成績を得るのが困難な症例が多い。理由は,この再建法を選択しなくてはならないほど浸食された中耳病変と,その原因となった病態が耳小骨連鎖の再建と維持を困難にしているからである。
日本耳科学会用語委員会の「伝音系再建法の分類と名称について」1)によれば,Ⅳ型とはアブミ骨底板上に耳小骨連鎖の再建を行うことを意味する。さらに,アブミ骨底板の上にコルメラを立て鼓膜と連絡した場合は,Ⅳ-c(Ⅳ型コルメラ),アブミ骨底板とツチ骨あるいはキヌタ骨との間に再建材料を挿入した場合はⅣ-i(Ⅳ型インターポジション)と分類している。従来からのWullstein Ⅳ型に相当する底板上に鼓膜を形成する方法は,単にⅣと呼んでいる。
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