連載 眼科医のための「医療過誤訴訟」入門・3
白内障術後眼内炎の法律的問題
岩瀬 光
1,2
1岩瀬眼科医院
2武蔵野赤十字病院
pp.329-331
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908979
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はじめに
白内障の手術手技は向上し,手術時間も短くなり,乱視などを含めた視機能への満足度も向上している。その成功率は90数%を超え,医者の行う手術の中で最も成功率が高く,また満足度の高い手術といわれる。しかし,確率は0.4%にも満たないながら,術後眼内炎が発症し,最悪術眼が失明かそれに近い状態になった場合,期待が大きいだけに患者さんならびに家族の失望は大きく,訴訟問題になるケースが多い。
日本眼科医会の「医事紛争の集計」によると,水晶体疾患の医事紛争の原因を行為別にみると手術が94.4%と圧倒的に多く,さらに白内障手術のうちの紛争原因を調べると後嚢破損が28.4%,感染が22.4%と多くを占めている。今回は,これらの裁判例や裁判に至らない仲裁例を分析してみて,眼科専門医がいかにして術後眼内炎を防止できるか,また眼内炎が発生したとしてもどうすれば過失を免れることができるかを考えてみたい。そのために,例として白内障術後眼内炎を起こした事例A・事例Bを登場させる(いくつかの事例を併せた典型例と理解していただきたい)。
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