特集 眼感染症診療ガイド
II.診断・治療のポイント
眼内炎
術後眼内炎―緑内障術後眼内炎
齋藤 圭子
1
1日本大学医学部眼科学教室
pp.253-257
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101465
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はじめに
緑内障手術後にみられる晩発性眼内炎は,20世紀の初めからElliot1)によって濾過手術の合併症として報告され,注意が喚起されていた。その後,緑内障手術はScheie法などの全層濾過手術法から線維柱帯切除術への手術法の変遷と線維芽細胞増殖阻害薬併用が行われるようになり,こうした併用療法を含む眼内炎の発症との関係について検討が行われるようになってきた。
緑内障術後の感染症は,bleb-related ocular infectionやbleb infectionといわれ,一般的には,緑内障術後しばらく経過した後,術後眼内炎として発症し予後が不良であるとされてきた。しかし,1994年にBrownら2)が病態と予後の関係から,➀ 濾過胞炎(blebitis)と,➁ 眼内炎(endophthalmitis)とに区別するよう提唱した。術後眼内炎は,手術中にその原因菌に感染し発症するものであると考えられるが,今回,濾過胞炎と眼内炎を広義の意味で緑内障術後感染症として扱い,臨床的特徴と治療について述べることとした。
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