特集 眼外傷の救急治療
前房・隅角・強膜外傷の救急治療
近藤 寛之
1
1福岡大学医学部眼科学教室
pp.31-36
発行日 2001年1月15日
Published Date 2001/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907157
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診断とそのポイント
1.打撲による前房・隅角の異常
眼球打撲は虹彩炎,前房出血,虹彩断裂,毛様体解離などを起こしうる。これらは救急治療としては薬物治療で経過をみることができるが,二次的治療を考慮して初診時に所見を正しく把握しておかねばならない。鈍的な衝撃によって眼球が変形したときに障害を受けやすいのは前眼部では隅角部であり,前房出血は通常は,隅角部や虹彩の血管の破綻で生じる。前房出血がみられたら虹彩断裂,毛様体解離を考え,隅角鏡で確認する(図1)。また前房出血が高度であると虹彩や水晶体,眼底の観察の妨げとなる。高度の前房出血では後眼部の障害のあることを念頭におく(図2)。超音波検査で網膜・硝子体に異常がないか確認する。
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