Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・135
化膿性細菌性眼内炎と全眼球炎
Purulent bacterial endophthalmitis and panophthalmitis
猪俣 孟
1
Hajime Inomata
1
1九州大学医学部限科学教室
pp.20-21
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905691
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化膿性細菌性眼内炎purulent bacterial endoph-thalmitisは細菌感染で起こる眼内の急性,非肉芽腫性,化膿性炎症である。外因性exogenousと内因性endogenousがある。多くの例は外因性化膿性眼内炎exogenous purulent endophthalmitisで,細菌性角膜潰瘍(図1)や穿孔性眼外傷(図2),内眼手術などで細菌が眼内に波及することによって起こる。術後では,緑内障濾過手術瘢痕創,網膜剥離手術の強膜バックルからの感染もある。さらに,眼内レンズ移植に伴うPropriobacterium acnesなどの弱毒菌感染もある。内因性のものは転移性細菌性眼内炎metastatic bacterial endophthalmitisとも呼ばれ,敗血症や腎盂腎炎などで血行性に起炎菌が眼球へ波及することによる。近年,ステロイド薬や免疫抑制薬の使用例,糖尿病患者など免疫力の低下による化膿性細菌性眼内炎の発症が増加している。
起炎菌は,グラム陽性球菌の黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌,連鎖球菌など,グラム陰性球菌はプロテウス属,緑膿菌などである。
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