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はじめに
昭和51年の超音波グループディスカッションから数えて今回が第20回にあたる。超音波診断の標準化と普及を目的に計測,ドップラー法,三次元表示法,RF信号の利用などに足跡を残しつつ,CT,MRIの普及を受けて昭和60年画像診断と名称を変更,平成5年よりGDを専門別研究会と呼ぶことに決まった。超音波研究はときに装置に頼りがちになり山も谷もあったが,演題を通覧してみると国産装置の沈滞を経て,コンピュータの発達に支えられた装置の改良とともに,IOL手術の日常化による急速な超音波診断装置の普及と,日常診療への浸透の歴史を読みとることができる。この間を支えた人々は山本,太根,沢田,金子,林,江見のほか多数にのぼり,毛様体剥離検出の飯島が重要で,眼動静脈系の画像化を紹介した岡部が注目された。第14回SIDUOの東京開催も記憶に残る。他のGDに入りにくい機器診断,コンピュータの利用も本会に持ち込まれたがその時々に新鮮な雰囲気を感じることができておもしろかった。SLO,CCDカメラの出現を待つ眼内所見めTV化などは,光量不足をかこっていた昭和50年代を思うと今昔の感をまぬがれない。最近の10年はCT,MRIを加えてこれまで希薄であった臨床診断が中心課題となり,参加する会員の範囲も大きく広がった。中尾,柿栖,本村,能勢の新しい強調画像法の導入,普及を計る指導的な役割に負うところが大きい。1回限りの発表が多いなか白内障の定量評価を続ける坂本,神経眼科の臨床にPETを駆使して脳内代謝の可視化を図る清沢も貴重な存在である。これまでの全体の流れがとらえられるよう,日眼100年誌に項目と発表者名を網羅的に記しておいた。ME学会,眼窩研究会と共通部分を分かちながら,臨床から遊離せず多岐にわたる領域をカバーできたのは画像診断と名称変更を提案した山本の慧眼による。20年間を振り返り新たな発展を期待して,画像診断の三つの柱である超音波,CT,MRIにつきレビューとこれからを展望する講演をお願いした。この節目に二人続いた超音波専門の世話人を,視野の広い臨床診断の指導者である中尾雄三先生に交代していただいた。学会組織をとらないで運営してきた本研究会のありかたと,毎年世話人会で話題に上る臨床眼科学会での位置づけなど,これから考えなければならない問題も残している。これらをともに考え,絶えず新しい試みを問う活発な画像診断研究会の発展を希い,会員諸兄の参加,支援をお願いするものである。
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