Group discussion
色覚
市川 一夫
1
1社会保険中京病院眼科
pp.1544-1545
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901815
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今年から世話人が福井医大深見教授から私,市川に変わりました。一般演題では先天色覚異常が5題,後天色覚異常が2題,そして招待講演が1題の計8題でした。今回は臨床眼科学会のご好意で色覚検査講習会をグループディスカッションに引き続き行うことができました。色覚検査講習会を同時に行ったためか例年参加される先生方の他に多数の新たな参加者があり,延べ150人ほどにもなりました。色覚検査講習会を臨眼のグループディスカッションの後,開催することにしたのは以下の理由からです。
1991年に日本眼科医会の執行部から,学校保健法を改正して,色覚検査を定期検診からはずすとする要望書が文部大臣に提出されました。我々のグループは,この改正案には先天色覚異常の最も基本的な性質(すなわち先天色覚異常は,検査により検出されなければ,何か色判別に失敗して正常者に指摘される以外自らは異常を自覚しない)を考慮にいれておらず,明らかな誤謬があることを指摘しました。色覚異常者が注意して色判別を行えば,色間違いは少なく,実生活上問題ないとの理由で色覚検査を定期検査からはずす今回の改正が実施されれば,色覚異常者は何か大きな失敗を起こさなければ色覚異常そのものを自覚せず,したがって注意深く色を見ることもしないわけです。この改正案は,色覚異常者の差別解消に役立たないばかりでなく,色覚異常者自身にとっても,社会的にも不利益をもたらすと眼科医会の執行部に警告しました。
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