今月の表紙
角膜神経腫
菅野 杏
1
,
堀 裕一
2
1北海道大学
2東邦大学
pp.1049
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215263
- 販売していません
- 文献概要
症例は20代,女性。主訴は両眼の強い乾燥感と羞明であった。初診時の視力は左右ともに(1.0),眼圧は右9.5mmHg,左9.3mmHgであった。前眼部所見は両眼の点状表層角膜症が認められ,涙液層破壊時間は両眼ともに5秒と短縮していた。他覚所見と比較して自覚症状の訴えが強く,ドライアイ治療用点眼,涙点プラグなど,さまざまな処置を試みたが改善はなく,さらなる原因究明のため生体共焦点顕微鏡検査(コンフォーカル)を施行した。
撮影にはHeidelberg Retina Tomograph(HRT)Ⅲ(Heidelberg Engineering社)を用いた。ドライアイでは角膜上皮下神経の数や密度が減少したり,ビーズ状形成物が認められたりすることがあると報告されている。今回の症例では,角膜上皮細胞の直下に上皮下神経が写り,その神経から発芽したようにみえるおびただしい数の角膜微小神経腫を認め,珍しい所見が撮影できた。撮影する際,正面視以外ではさまざまな層の細胞が写り込んでしまうため,正面視を維持させながら行った。また,角膜を圧迫してアーチファクトが入らないように,機械との接着面積が最小限となるよう配慮した。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.