--------------------
あとがき
稲谷 大
pp.548
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214779
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今月号の「あとがき」を,マレーシアクアラルンプールで開催されているアジア太平洋眼科学会(APAO)の宿泊先で執筆しています。コロナパンデミック後に参加した初めての国際会議になりました。私がAPAOに初めて参加したのは,2009年のインドネシアバリ島でのシンポジウム発表でした。この15年近くの間に大きく変化したのは,アジア諸国からの研究発表のレベルがめちゃくちゃ上がったということです。すでに,アジアのトップ大学からの発表内容は日本やアメリカの地方大学からの発表が太刀打ちできないレベルになっています。クアラルンプールも高層ビルが立ち並び,物価も昔みたいに日本の1/10みたいなバカ安ではなくなってしまっていて,すでに福井県と同じくらいです。
「日本のプレゼンスが落ちた」と嘆く先生もいらっしゃいますが,私はちょっと違うのかなって思います。アジア諸国が経済成長して豊かになって研究する余裕ができたということだと思います。アジア諸国は戦前,欧米列強の植民地で,戦後独立した後も貧しい時代が続きました。今のアジア諸国の研究レベルの高さは,先人たちが目指していた豊かなアジアがようやく実現できたということではないでしょうか? 学問の世界なのだから,日本の眼科医が教えてやるみたいなマウントの取り合いよりも,これからは日本人もアジアの一員として,研究成果を対等に発表し合う国際学会として参加できればと思います。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.