増刊号 この症例このまま診ていて大丈夫? 病診連携にもとづく疾患別眼科診療ガイド
3 涙道
鼻涙管閉塞
三谷 亜里沙
1
,
白石 敦
1
1愛媛大学医学部眼科学教室
pp.126-130
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214159
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クリニック・病院から紹介/逆紹介するときのポイント
クリニックから病院へ紹介するとき
《急性涙囊炎の場合》
・当日紹介が可能であれば,CT精査が可能な眼科病院に紹介する.
・当日紹介が困難な場合は,眼脂培養を提出しておき,広域抗菌薬を処方する.
・急性涙囊炎から眼窩蜂巣炎,眼窩内膿瘍など視機能障害を及ぼすものや,化膿性髄膜炎など生命にかかわる病態に進展する場合があるため,抗菌薬投与後も厳重な経過観察を短期間に行う必要がある.
《慢性涙囊炎の場合》
・基本的には根治的治療のため,涙道手術が可能な施設に紹介する.内眼手術を控えている場合,術後眼内炎のリスクを下げる意味でも内眼手術前の治療介入が望ましい.
・抗菌薬の投与を漫然と続けるべきではない.
・涙道閉塞に伴う角膜障害を合併している場合や腫瘍などの涙道外病変に伴う涙道閉塞が疑われる場合は早めに紹介する.
・先天鼻涙管閉塞の場合,1歳以降で眼脂,流涙症状の改善傾向を認めない症例は紹介を検討する.
病院からクリニックへ逆紹介するとき
・涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術もしくは涙道鼻腔吻合術を施行し,術後経過に問題がないとき.
・角膜病変合併例では角膜上皮障害の改善を認めたとき.
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