増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
11 緑内障
前房洗浄術
小野 岳志
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.220-221
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213795
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手術・治療の概要
前房洗浄術は,外傷後の前房出血による高眼圧の場合以外はほとんどが術後合併症に対して行うために,(準)緊急的な手術となることが多い。前房洗浄術の具体例としては,白内障手術後に前房内に残存した水晶体皮質の除去や,前房内に残留した粘弾性物質により高眼圧をきたしている場合に,その粘弾性物質の除去などがある。緑内障手術〔トラベクロトミー(LOT)などの流出路再建術〕後に生じた前房出血により高眼圧をきたしている場合に,その出血の除去などがある。シリコーンオイルを使用した網膜硝子体手術後に乳化したシリコーンオイルにより高眼圧をきたしている場合に,その除去などがある。
本稿では,緑内障手術後の前房出血に対する前房洗浄術に関して解説する。LOTの術中に前房圧が低下し,上強膜静脈から前房内に逆流性の出血がほぼ全例で生じ,術後に前房出血を合併するが,ほとんどは術後1〜2週間で消退する。前房出血と高眼圧を同時に合併している症例も多く,前房出血が軽度で高眼圧を認める場合は,抗緑内障点眼薬の再開や追加,炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド錠)の内服,高張浸透圧薬(D-マンニトールやグリセリン)の点滴などを高眼圧の程度に応じて段階的に行い,眼圧下降を図る。しかし,多量の前房出血(瞳孔領以上)により30mmHg以上の高眼圧が持続している場合(図1)は,急速な視野障害の進行や角膜染血症などの危険性もあるため,前房洗浄術を検討する1〜3)。
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