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特集 眼疾患の一次予防と二次予防—眼疾患はどこまで予防可能か?
緑内障の一次予防と二次予防
Primary and secondary prevention for glaucoma
矢花 武史
1
,
志賀 由己浩
1
,
中澤 徹
1
Takeshi Yabana
1
,
Yukihiro Shiga
1
1東北大学医学部眼科学教室
pp.20-27
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212126
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はじめに
緑内障患者数は,全世界で6000万人以上に及び,失明原因の第2位となっている1)。本邦では,岐阜県多治見市で行われた疫学調査(多治見スタディ)から,40歳以上の緑内障有病率は5.0%であることが明らかとなっている2)。同調査において,広義の原発開放隅角緑内障(primary open-angle glaucoma:POAG)の有病率は3.9%で,正常眼圧緑内障(normal-tension glaucoma:NTG)が9割以上(3.6%)を占め,日本人の緑内障の重要な特徴としてNTGの割合が非常に高いことが判明した3)。さらに,広義POAG患者の約9割が無自覚,未受診の潜在患者であったと報告されている4)。
このように緑内障は,初期は自覚症状に乏しく,患者が症状を自覚する頃には,すでに進行期であることも少なくない。現に,2006年に厚生労働省より発表された,わが国の中途失明原因では,長らく1位であった糖尿病網膜症を抜き,緑内障が1位となっている5)。今後,人口の高齢化に相まってその有病率は増加することが予想され,緑内障による失明を防ぐために,ますます早期発見・早期治療の重要性が高まっていくと考えられる。本稿では,緑内障の一次予防(発症そのものを予防)と二次予防(早期発見・早期治療)に焦点を当て,これまでの疫学研究,臨床研究に基づき総括する。
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