書評
臨床研究の教科書—研究デザインとデータ処理のポイント
尾崎 紀夫
1
1名大・精神医学
pp.1238
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211909
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評者が初めて医学部生向けに臨床研究について講義した際,参考にしたのは学生時代に受けた講義であった。一方,大学院教育はまったく受けていなかったが,ありがたいことにNIH(National Institutes of Health)で臨床研究に参加して,臨床研究に必要な事項を学ぶことができた。(研究デザインをした上で)研究倫理委員会への申請,研究参加した患者を含む一般へのアウトリーチ活動,そして統計学の重要性といった事柄である。
当方の大学院生には,〈患者・家族のニーズを踏まえ,日々の臨床疑問の解決と病因・病態を解明し,病因・病態に即した診断・治療・予防法の開発をめざすことが基本方針〉であり,〈臨床研究のしっかりしたお作法,すなわち研究デザインやデータ解析などを身につけることが重要〉と説明し,参考図書を紹介してきた。ところが,研究デザインやデータ解析に関する図書は,臨床的観点が乏しい,あるいは数式が多すぎて取っ付きの悪いものになりがちである。さりとて,あまりに簡略化したものは食い足りず,良い臨床研究の教科書はないものかと,探し続けていた。
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