文庫の窓から
結膜病図解
中泉 行信
,
中泉 行史
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.1212-1213
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210911
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「聞きたるは読みたるよりも了解し易く,又百たび聞きたるは一たび見たるに如かず……主として視診に依って診断するを要する疾患は一層図に就きて之を説明するを利ありとす」(石原忍著「最新トラホーム図説」)とあるように,眼病図は中国伝来の占い眼科書(「銀海精微」「眼科全書」等)にも理解を深め易いように線描きではあるが絵図が挿入されている。これらはわが国に渡来してさらに詳細に色彩の手が加えられ,図譜,図鑑の形で大いに発達した。近世日本の眼科図譜の優れたものとして,黒木可亭の「済明図鑑及附録方論」(享和元年),宮本周説伝「眼科図譜」(筆者未見),本庄普一作「眼科錦嚢」附図(筆者未見)等はその一例であろうか。
これらの図譜の発達は病状の理解を容易にしたとともに,臨床的観察がより的確に行えるようになったあかしとみることができるといわれている。これらの眼病図には簡単な図説が附されていたが,一類一症の分類法による眼病各別の病状説明であった。一つの眼病を選んでその病変を記録し図解するようになったのは近代眼科が直接行われるようになってからのことといわれている。本書はそうした明治20年代前半に行われた眼病図解書の第1書とみられるもので,著者はその緒言に次の如く述べている。
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