手術ノート
初心者のためのKPE手術事故防止ポイント集(2)
上野山 謙四郎
1
1和歌山医科大学
pp.166-167
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208524
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核の硬さと適応
(1)軟性白内障は危険なので,初心者はさけるべきである。これは従来いわれてきたのと反対に聞えるかもしれない。「初心者はまず軟性白内障で十分経験を積んでから,有核白内障に取掛るべきである」と考えておられる力も多いと思う。しかしEmeryとLittleの教科書(47頁)を見てほしい。彼らは初心者に適当なのはGra—de3のMedium Nucleiであり,Grade1と2はすすめられないとしている。その理由は脱臼操作がむずかしく,この間に後嚢破損を発生しやすいことや,後房法になることが多く,これは技術的に初心者向きでないためとしている。著者も自分の失敗経験から同感である。本当に安全なのは「吸引のみで取れる白内障」であり,これは症例数からいえば少ししかない。
(2)初心者にとって安全な症例は「容易に脱臼できる有核白内障」である。一手前房法にせよ,二手前後房法にせよ,脱臼が旨く行けば手術は半分成功したといえる。
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