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緒 言
近年インスリン治療と抗生物質の開発により糖尿病の血糖コントロールと感染症合併は改善され,糖尿病患者の余命は著しく延長したが,逆に長期合併症として血管障害が増加しつづけ,現在では,血管合併症の管理と予防が糖尿病治療の主要な目標となつてきている。眼科領域では糖尿病性網膜症が糖尿病患者の失明原因として大きな問題となつていることは,周知の事実である。糖尿病性続発緑内障は別名出血性緑内障,rubeoticglaucomaまたはneovascular glaucomaなどとよばれ,網膜症が進行し,いわゆるproliferativeretinopathyに至つた症例に起こる緑内障である。この緑内障では虹彩面上の血管新生(虹彩ルベオーシス)を伴い,虹彩根部に高度の虹彩前癒着を生じる1)。眼圧のコントロールはむずかしく,強い眼痛を伴つた上に視力回復の見込みがないなどの理由で眼球摘出に至る症例が多い。
1977年Gartnerら2)は虹彩ルベオーシスと虹彩根部前癒着とを伴つた緑内障眼で虹彩面上に内皮が形成されている病理所見を報告した。糖尿病眼に起こつたものはわずか1例だけで,この所見が糖尿病性続発緑内障に頻発するものかどうかは明らかにされなかつた。
Six eyes were enucleated because of painful, intractable secondary glaucoma with rubeosis iridis or hyphaema in diabetic patients. Histo-pathological study demonstrated extension cf the corneal endothelium and fibrovascular membrane on the anterior iris surface and extensive peripheral anterior synechiae in 5 eyes. Partial peripheral anterior synechiae occurred in one eye without extension of corneal endothelium and fibrovas-cular membrane on the anterior iris surface.
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