連載 眼科臨床レントゲン診断学・7
各論(4):副鼻腔ムコツェーレのX線写真
深道 義尚
1
1昭和大学眼科
pp.1154-1155
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207716
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
眼症例を呈する副鼻腔ムコツェーレの症例は決して少なくない。ムコツェーレの原因は,副鼻腔から鼻腔への生理的な通路が遮断されたため,副鼻腔内に粘液が貯留することによつて生ずるものと考えられている。その原因としては,慢性の鼻炎あるいは副鼻腔炎も考えうるが,これは大変稀である。原因の大部分は,過去に行われた慢性副鼻腔炎の手術である。副鼻腔内に加えられた手術的侵襲により生じた瘢痕が,その部位より深部からの分泌される粘液の流出を妨げることによつて起るものと考えられる。手術後に生ずる瘢痕の抵抗は生体の骨質よりも強いようで,ムコッェーレによる眼症状は,眼窩周辺骨の破壊と吸収により眼窩内に影響を及ぼしているように考えられる。したがつて,本症においては眼窩のX線撮影は,極めて重要な診断的価値を有するものと思う。以下に,前頭洞ムコツェーレの症例を2例,上顎洞のそれを1例ならびに後部篩骨洞の症例2例を紹介してみたいと思う。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.