談話室
「斜視」の動詞
弓削 経一
pp.826-827
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207457
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斜視という言葉を辞書でみると(1)眼筋の異常のため両眼の視線が発散または交叉して注視点に向かわないもの。やぶにらみ。邪視。(2)ながしめに見ることと出ている(広辞苑)。
「ながしめに見ることが」斜視ならば「ながしめに見る」は「斜視する」となつてもよいとおもわれる。凝視は目をこらしてじつと見つめることとなつていて(広辞苑)「凝視する」という動詞は日常使われている。議論する,勉強する,戦争する,研究するなど,また世話する,夜遊びする,はてはぬるぬるする,はらはらするなど,例はいくらでもある。文法的な解釈を加えると生意気になるので例だけをあげるが,平和するとか,空気するとかいえない所からすると,「する」が加わつて動詞になるには,加わる言葉──連用修飾語といわれるらしい──,議論,勉強などに,何か,そうなるにふさわしい性質があるにちがいない。
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