臨床実験
Stahli-Hudson Lineに就て
呉 基福
1
Kifuku Go
1
1台湾呉基福眼科研究所
pp.1187-1190
発行日 1956年8月15日
Published Date 1956/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205797
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緒言
角膜の色素沈着症にStahli-Hudson lineがある。此の角膜色素沈着症は1911年Hudson氏によつて始めて記載され1918年Stahli氏によつて詳細に研究されたものである。Stahli氏の記載によれば此の角膜上皮性色素沈着症は通常角膜の下半部,瞼裂部,水平の位置に存在し波状又は細線状,ときには分枝しけつして角膜辺縁に達する事はない。其の本態に就ては此の色素は上皮細胞内に存在し小顆粒をもつて構成されたアルカリ性hema-tine (Stahli,Moncreiff,1932)である。又其の発生機転に就てはBowman氏膜の変性があり,或いは牽引による断裂があつて涙液中に含まれている鉄成分が此の個所に滲入し次いで色素沈着を来たしたものだと報告している。其後Vogt氏M.L.Berliner両氏の研究報告が発表されているが,いずれにしても此のlineの発生機転に就ては究明されていない。余は角膜色素沈着の綜合的研究をなし,此のSttihli-Hudson lineなるものはStahli氏の記載せる定義をはるかに超えて,更に多種の新症状が含まれるべきだと考えたので其の諸症例を迫加報告し,併せて其の明確なる分類を試みたのである。
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