特集 図説 胃と腸用語集2012
画像所見〔胃〕
demarcation line
八尾 建史
1
1福岡大学筑紫病院内視鏡部
pp.698
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113290
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demarcation lineとは,一般的には,境界線,分画線,分界線を指し示す用語である.局在した粘膜病変の拡大内視鏡診断を行う際の指標に用いる場合,局在病変の背景粘膜と病変に存在する明瞭な境界線をdemarcation lineと称する(Fig. 1)1).demarcation lineの有無を判定するには,背景粘膜と病変の間に微小血管構築像〔MV(microvascular)pattern〕または表面微細構造〔MS(microsurface)pattern〕の急峻な変化(abrupt change)を認める場合を,demarcation lineありと判定する.
demarcation lineは,VS classification systemによる癌・非癌の診断に有用な指標である2).それによると,demarcation lineの内側にirregular MV patternやirregular MS patternが存在する場合を癌と診断する(Fig. 2).demarcation lineは,臨床的には胃炎と胃癌の鑑別診断3)4)や早期胃癌の境界診断5)に有用な所見であり,発赤した病変については,demarcation lineが存在しない場合は,非癌と診断することができ,陰性的中率(negative predictive value)が高い指標である.
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