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緒言
従来ブドウ膜炎と脳腫瘍との問には関連する点はまつたく考えられず,過去においてブドウ膜炎の分類の中にも,また鑑別診断の中にも含まれていなかつた。1972年にNeaultら1)は,ブドウ膜炎を伴う脳内原発性細網肉腫の7例を報告した。その報告では,12年間に開頭術によつて脳内細網肉腫を見出した17例のうち,7例においてブドウ膜炎の既往があつたが,細網肉腫以外の脳腫瘍では,ブドウ膜炎の既往のある例はなかつたという。その7例の年齢は42歳から64歳まであり,眼症状発症から死亡までの期間は1.7年から12.7年におよび,眼症状発症より神経症状発症までの期間に最長で7.8年もの期間をおくものがあつた。7例中1例のみが死後剖検されているが,その時点まではブドウ膜炎との関連に気づかれていなかつたらしく,眼球の剖検はすべて行なわれていない。またNeaultはその論文中に,それ以前の記載にはVogel2)の記載した2例があることを述べている。Vogelは1968年,眼内の細網肉腫の6例を示し,そのうち2例で眼球以外に脳に細網肉腫を認め,かつ眼所見はブドウ膜炎であり,緑内障を合併したので摘出剖検している。
今回私らも原因不明のブドウ膜炎で発症した脳内細網肉腫の1例を経験したので報告する。
A 32-year-old female developed posterior uve-itis which was resistant to corticosteroid the-rapy and which progressed to invlove both eyes. Multiple neurological symptoms appeared 7 mo-nths after onset of ocular symptoms. The pa-tient died after next 9 months and autopsy revealed the presence of reticulum cell sarcoma in the cerebrum and the brain stem. The eyes were not subjected to pathological examinations.
It is inferred that the reticulum cell sarcoma invading the retina may have simulated poste-rior uveitis.
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