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緒言
風疹は元来急性伝染病として知られているが,妊娠中の母体が感染すると,しばしば胎児に風疹ウイルスの持続的感染をきたし,その結果生まれてくる子供に種々の先天異常を起こす。これを先天性風疹症候群と称し,とくに白内障,難聴,心疾患等の症状がもつともよく知られている1)。この先天性風疹症候群の発生は我国においては極めて稀とされていたが,その理由の一つとしてretrospectiveな診断が困難である事があげられる。先天性風疹症候群の臨床症状が多彩であるため,臨床各科,とくに眼科,小児科,耳鼻科の協力が必要であるが,またその代表的な症状である白内障,難聴,心疾患などの先天異常の原因となるものは数多く,風疹はその原因のわずかに一部であるにすぎず,これらの個々の症状が存在するだけでは診断がつけられない。更に実験室的診断(laboratory diagnosis)であるウイルス分離が,もし可能であれば確実ではあるが,生後1年以上経過するとウイルス分離の可能性が殆んどなくなる。中和坑体試験や血球凝集阻止反応にしても生後数年以上経過すると,先天感染か後天感染かを区別することが困難である。
私達は1965〜1966年に沖縄において多発した先天性風疹症候群について,母体の風疹罹患の有無,各臨床症状間の関連性と血球凝集阻止反応(以下HI)の関係を調査し,一応retrospecti—veな臨床診断基準を定める事ができた2)。
The authors succeeded in establishing crite-ria for the retrospective diagnosis of rubella syndrome based upon the epidemics in Okinawa during 1965-66. The presence of rubella retino-pathy was the most frequent occurrence of and therefore the most trustworthy diagnostic cri-terium of prenatal rubella infection.
A mass survey of children attending schools for the deaf in Okinawa led to the detection of 26 children who fell victim to the rubella epidemics during 1965-57 which occurred as precurser to that of 1965-66.
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