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緒論
今日,皮膚の自家移植は広く行なわれており,外科的手技に失敗のないかぎり生着が見込まれている。これに反して同種移植は一卵性双生児その他特殊な場合を除いては成功しないというのが定説となつている。しかるに眼瞼においては,これが臨床的に生着したようにみえることは珍しくなく1〜4),山本ら5)も最近眼瞼外反に対する同種植皮の成功した症例を報告している。それによれば,上眼瞼に患者自身の上腕屈側よりの皮膚を移植し,同時に下眼瞼には実父の同上部よりの同種植皮を行ない,その治療経過中における形態的差異(移植部の段のつき方,萎縮の程度,脱落の有無など)を臨床的に比較観察し,また発汗機能などを検査した成績では,両者の間にきわだつた肉眼的差異を認めなかつたという。
一般に同種全層植皮片は初期には自家植皮片と同じ経過をたどるが,やがて硬化して痂皮様となり最後には壊死化して脱落するのが普通である。そのため眼瞼にみられる上述のような生着現象を矛盾なく説明するのに,一部の人々によつて遷延性拒否反応なる概念が眼瞼にも適用された。皮膚における遷延性拒否反応とは,植皮片が部分的硬化と米糠様の落屑を示しながら,次第にその大きさを減じ,最後まで創面を露出することなく,ついには植皮床の瘢痕組織によつて置換されることをいい,実験的に2系の純系マウスの中間層同種植皮時6)に,臨床的にヒトの双生児間7)に,この型の反応をみることがあるといわれる。
Observations divided into two parts:
1) Macroscopic observations of autografts and homografts on the eyelids were compared with backs in rabbits.
2) Histological examinations of vascularization were done by injection of india ink into the blood vessels.
Results were as follows:
1) Autografts on the backs had a success in 100% cases except for surgical failure, and autografts on the eyelids had a success even in poor surgical procedure.
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