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緒言
近来眼科医療における診断治療の進歩並びに社会構造の変遷に伴う臨床面における疾患像の変遷も少くない。かかる事態において診療受入れ側としては常に内容の改遷を迫られている。しかし医療の本質から考えて,その基本条件とは,進歩開発された技術を駆使してこれに対応するにしても,治療の推進に一貫性を持ち,視力回復の望みのない症例にも,社会人としての機能を最高度に維持発揚出来る方向に考慮すべきである。即ち眼疾に対する我々の治療能力が未だ万能でない今日,特に高度の視力障害者に対しては盲人福祉の出発点迄眼科臨床が関与せねばならない。
眼科臨床の実状をみると,外来する高度の視覚障害者は疾患が固定して居るにもかかわらず,受診を希望して各地の診療施設をめぐつて居る事が多い。患者或は家族の視力回復の望みが大きい程,また進行が慢性的である程失明を告げる事は眼科医にとつて困難であり,その時期を失つて居る事が一因である。他方には患者自身が視機能を失つたにもかかわらず,次に進むべき方向を知らぬ事も原因である。大多数の中途失明者は徐々に視力を失い,眼科医として大した事も出来ないままに通院を続けさせ,その間に金を失い,職を失い,更生の時期を失つてしまう。医療によつて患者が利益を得ないであろう事が確定した時は出来るだけ早く患者を社会福祉なり更生相談なり社会復帰の手段を講ずべくチャンスを先ず与えるのは眼科医のみが出来る判断であり,責任でもある。
After stressing the keen need to give adequate advice and reorientation to visually disabled subjects for whom further medical treatment is not expected to bring about improvement, a description is given over the Rehabilitation Clinic for the visually handi-capped, which is functioning as part of the Department of Ophthalmology of Juntendo University description, Tokyo. The Clinic is operated by one ophthalmologist, two trained social counsellors and two case workers.
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