臨床実験
眼科に於けるトリクロールエチレン麻醉
鴻 忠義
1
1千葉大学眼科学教室
pp.495-498
発行日 1955年3月15日
Published Date 1955/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202174
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近代外科手術の発展は麻酔法と無菌法の発達に負う所大である。麻酔法は19世紀初葉にEther及びChloroform麻酔が発見せられて以来急速に進歩し,相継いで新らしい或は安全な麻酔剤及び麻酔装置が工夫製作され亦,最近は補助麻酔剤としてCurare等が登場し将に日進月歩の観あり,又無菌法には従来の方法に加えて,最近は有力な抗生剤及びSulfa剤等の化学療法により手術創の感染化膿を確実に阻止することが出来る様になつたので,麻酔法及び無菌法が両々相俟つて近代外科の発達を齊したものと言えよう。
者し乍ら無菌法が略々完壁に近い発達を逐げたのに対して麻酔法はEtherに始つて既に100年余を経て多大の発展をなしつつありと雖ども今日尚全身麻酔のみならず局所麻酔に於ても突発事故が報ぜられることあり又,呼吸困難,チアノーゼ,不整脈,シヨツク,心臓停止或は痙攣等の呼吸器循環器或は神経系に於ける諸合併症があり手術手技の妨害となる事は日常屡々経験する所であるので安全な麻酔法の確立に対する期待は大きい。
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