銀海餘滴
副腎皮質ホルモン療法の指針(日本医師会)
pp.968,975
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201986
- 有料閲覧
- 文献概要
眼科領域
1.使用法及び用量
ACTHは下垂体前葉ホルモンの一つであつて,副腎皮質と作用し,コーチゾン及び其の他の皮質ホルモンの分泌を亢進せしめるものである。従つてその使用は,全身的投与即ち筋肉注射によらなければならない。処が眼科に於いては,全身的疾患の部分症としての眼疾患は別として,視器及びその近傍の組織の疾患には,薬剤の経済の上からも,亦全身的副作用を防ぐ意味からも,局所療法を主とし,全身的療法を従とすべきであることは,戦後抗生物質渡来以来,多くの学者によつて異口同音に強調せられて来た処であつて,この場合にも同様のことがいえる。のみならずACTHの藥効は,副腎皮質の健全なることを前提条件とし,又その長期使用は,下垂体機能の上に悪影響を及ぼすことを,注意しなければならないのである。これ以上の諸点に於いて優越するコーチゾンに比し,ACTHの眼科的使用の著しい制約を受ける所以である。
ACTHの使用法は,他科に於けると略々同様でよい。即ち普通は1日量100〜120mgを4回に分注する。効がなければこの倍量まで増量することが出来る。効あれば2〜3日後から80mg,60mg,40mg,と減量し,25mgを持続する。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.