銀海余滴
副腎皮質ホルモン療法の指針・その5
pp.1032
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202007
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コーチゾンは創孔の治癒を遲延させる。
実驗的に,コーチゾンを使用すると,創面に於ける線維芽細胞組織の生成の少いことが証明されており,又臨床的にも,白内障弁状摘出後,第一日からコーチゾン液を点眼し続けると,角膜は速やかに透明になりながら,創子しが癒着せず,前房の出来難いことが屡々観察される。しかしコーチゾンは既成の肉芽組織には干渉しないから,之が使用は,外傷或いは手術後創口の癒着を待つて為すべきである。但しコーチゾンの肉芽組織妨害現象は,低濃度のものなら考慮する程のことはないという人もある。この性質を逆用して,翼状片手術後の肉芽組織増殖を防禦する試みもなされ,又虹彩炎の際散瞳薬を助けて,虹彩後癒着を防止する企ても考えられる。
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