談話室
京都でのDr.R.Nataf
弓削 經一
1
1京都府立医大眼科
pp.645-647
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201891
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3月20日午後4時22分「つばめ」でDr.Natafが京都に第1歩を印した。展望車からおりた民を,浅山教授,Grosbois関西日仏学館長,Hauchecorne同館員,それに私と上野助教授が迎えた。
東京からの消息ではなかなかむずかしげな人であるときいていたので警戒を怠らない気持で接したが,握手をした瞬間,すべての隔てがとれてしまつた。全く旧知の人の様な心易さで京都ホテルに案内した。ロビーで日程を打合せ,食物の好みなどきいて6時頃「今夜街をブラツクなら案内しよう」と申出た処,諾否の返事がはつきりしないので,「私の室へ来ないか」と誘つたところとたんに元気よく行くというので直ちに教室へ同行した。私の処の教授室で,全く準備も何もしてなかつたが「ガスストーブ」をつけて,白湯を出し,トラコーマの組織標本などで時のうつるのも忘れてしまつた。気がつくと8時を過ぎていた。疲れないかときいたら少し疲れたとのことでやつと8時半頃切上げた。実はDr.Natafは夕食をとらない習慣なので,私も上野君もそれにお相伴したものだから,こちらの方がヘトヘトになつてしまつた。
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